俺がお前を夢の舞台へ
蒼空が体を起こしてこちらを見る。


昔からよく見た真っ直ぐな瞳だ。


「浮気じみた行動をして、本当にごめん」


こんなに素直で優しい蒼空を裏切って傷つけるような行為だった。


浮気のつもりじゃなくても、もっと警戒心を持つべきだったのに。


「別にいいよ、そんなこと。勇翔から全部聞いてるから」


ふんわり笑ってくれて、少し心が軽くなる。


でも、それじゃだめだ。


ちゃんと自分の気持ちを話さなきゃ。


「私……ホントは蒼空と勇翔の間で揺れてたんだ。ひどいでしょ」


「……そんな気はしてた。俺より勇翔なんだろうなって」


怒るでも悲しむでもなく、ただ頷きを見せる蒼空。


どれだけ嫌な思いをさせたんだろう。


どんな気持ちで私と接していたんだろう。


そんなことを考えずに、私は蒼空に甘え続けた。
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