俺がお前を夢の舞台へ
桜森との練習試合で途中降板したことを思い出す。


蒼空にとって初めての経験だったに違いない。


あの日以降、野球から離れたことを思うと、限界を感じさせる試合だったんだろう。


それなのに蒼空はあの時、私に“大丈夫”と言った。


全然大丈夫じゃなかったのに。


今までもそうやって自分の限界を超えようとしてきたんだろう。


たった一人で。


誰にも相談せず、泣き言も言わずに…。


誰にも真似できない。


誰よりも強く甲子園出場を望む蒼空だからできたこと。


「…蒼空の夢、ちゃんと叶えるからね」


絶対に叶えるから。


皆頑張ってる。


サボり魔だった和樹くんだってガムシャラに練習してる。


蒼空を失って止まってしまった足がまた動き出した。


「だから…蒼空も見ててね。勇翔が…皆が、夢を叶えるところ。見ててね…?」
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