俺がお前を夢の舞台へ

嘘と弱音と-蒼空side-

【蒼空side】

狭い箱の中に仰向けに寝かされる自分。


身体はピクリとも動かなくて、天井しか見えない。


横からぴょこっと人の頭が出てきた。


黒い服に身を包み、白いユリを俺の体の上に置く。


“父さん…”


呼んでも反応してもらえないまま、父さんは姿を消す。


入れ替わるように母さんが現れる。


泣き腫らして真っ赤な目。


俺の頬に母さんの涙が落ちた。


葬式だ。


俺の葬儀─。


“俺はここにいる─”

“まだ死んでない─”


誰にも届かない。


俺の声は誰にも届かなかった。
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