俺がお前を夢の舞台へ
どんな顔して会えばいいんだろう。


彩絢と顔を合わせるのが気まずい。


だからずっと体調を言い訳にして面会を拒んでいた。


“いい加減彩絢ちゃんに会ってあげなさい。毎日心配してくれてるのよ?”


母さん曰く、毎日母さんのところへ俺の体調を確認するメッセージが届いているらしい。


彩絢らしいといえば彩絢らしいけど、正直放っといてくれるほうがよっぽどありがたい。


自分からは何も話さなかった負い目があって、彩絢と会いづらい。


それに、死を身近に感じて怯えている俺を知ってほしくない。


そんな情けない姿、見せたくない。



そんなふうに思っていたのに。


─ガラガラ…


母親かと思った訪問者は、彩絢だった。


会いたくないと思っていた張本人。


なんで彩絢がここに。


思い当たるのは母親だけ。


母親が病室を教えたんだろう。
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