俺がお前を夢の舞台へ
「別にいいよ、そんなこと。勇翔から全部聞いてるから」


彩絢の浮気疑惑を利用して、強引に別れた。


彩絢の話も聞かずに。


だから、別に彩絢が謝ることじゃない。


「私…ホントは蒼空と勇翔の間で揺れてたんだ。ひどいでしょ」


それも知ってる。


分かってる。


俺は勇翔には勝てない。


勇翔が転校してきたときから気づいてた。


彩絢の気持ちがアイツへ向いていることも、それを申し訳なく思っていそうなことも。


痛いくらい分かってる。


「ホントにごめんね…。こんな女に時間割いてくれてありがとね…。こんな女のために悩ませてごめんね…」


…彩絢は今、どういう想いでいるんだろう。


なんで今になってこんな話をするんだろう。


俺は…もう彩絢を恋愛対象として見ることはない。


だけど、彩絢は違うんだろうか。
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