俺がお前を夢の舞台へ
「もし完治したら、ヨリ戻す?それとも、もう無理?」


かなりオブラートに包んだ聞き方。


どうか後者であってほしい。


俺と彩絢はカップルとしては上手くいかない。


“幼なじみ”でいる方がずっと楽しい。


いろんなことを経て、そう気づいたんだ。


「蒼空とも勇翔とも“幼なじみ”でいたい。ワガママでごめんね。本当にごめんなさい」


俺と同じだ。


深々と下げている頭に手を乗せ、髪をくしゃくしゃっと撫でる。


「謝るな?」


彩絢が謝る必要なんてない。


俺も“幼なじみ”でいたいし、そもそも俺にも謝らないといけないことはある。


「俺の方こそ、病気のことずっと隠しててごめんな」


明らかな隠し事をされて嬉しい人間なんていない。


きっと、嫌な思いをしただろう。
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