俺がお前を夢の舞台へ
──5月
蒼空の体調が良くなることはなく、倒れた日からずっと入院したまま。
それでも、ツラそうな様子は全然なくて、頻繁に橘の近況を聞いてはニコニコしている。
あと2ヶ月。
たったの2ヶ月ですべてが決まる。
病室で窓の外を眺めている蒼空を見ると、何がなんでも夢を叶えたい。
1番悔しいのは蒼空だから。
誰よりも頑張ってきたのに、試合に出ることができない蒼空が1番ツラいはず。
“蒼空の夢を叶える”
いつからか、部室には手書きの横断幕が飾られている。
「蒼空の夢を叶える……」
横断幕に手を触れると、なぜだか少し温かい気がした。
この横断幕を見ると元気がもらえる。
忙しくて大変な毎日だけど、蒼空はもっと頑張ってる。
そう思うと力が沸いてくるんだ。