俺がお前を夢の舞台へ

──5月

蒼空の体調が良くなることはなく、倒れた日からずっと入院したまま。


それでも、ツラそうな様子は全然なくて、頻繁に橘の近況を聞いてはニコニコしている。


あと2ヶ月。


たったの2ヶ月ですべてが決まる。


病室で窓の外を眺めている蒼空を見ると、何がなんでも夢を叶えたい。


1番悔しいのは蒼空だから。


誰よりも頑張ってきたのに、試合に出ることができない蒼空が1番ツラいはず。


“蒼空の夢を叶える”


いつからか、部室には手書きの横断幕が飾られている。


「蒼空の夢を叶える……」


横断幕に手を触れると、なぜだか少し温かい気がした。


この横断幕を見ると元気がもらえる。


忙しくて大変な毎日だけど、蒼空はもっと頑張ってる。


そう思うと力が沸いてくるんだ。
< 316 / 434 >

この作品をシェア

pagetop