俺がお前を夢の舞台へ

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「勇翔、少しは休憩しなよ」


ランニングから帰ってきてすぐにピッチング練習に取り掛かろうとする勇翔にタオルとドリンクを渡す。


「休憩してる時間がもったいない」


「でも…大丈夫?」


毎日部活が終わってからも練習してるし、バイトも続けられる範囲で続けてるみたいだし…。


いよいよ体を壊しそうで不安だ。


何かに取り憑かれたように野球に没頭する勇翔を見ると、嫌な予感がしてくる。


少年野球時代、お父さんから何度も“休め”と怒られていたことを思い出す。


「大丈夫大丈夫」


“大丈夫”


この言葉が嫌いだ。


昔、私には大丈夫と言いながら疲労骨折をしていた。


蒼空だって、大丈夫じゃないのに大丈夫だって言う。
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