俺がお前を夢の舞台へ
「…もう、野球部からいなくならないでね」


無理をして体を壊して、またエースを失うなんてもう嫌だ。


橘は、よくも悪くも勇翔がいなきゃ勝てないチームなんだ。


「俺のことを信じろ。絶対大丈夫だから」


力強い口調で言い切る勇翔。


私の返事を待たずにブルペンへと去っていってしまった。


「頼もしいっすね、勇翔さん」


いい汗を流している和樹くんが話しかけてくる。


その顔はいきいきとしていて、冬とは別人のようだ。


「勇翔さんなら大丈夫っすよ。あの人の体、ひくほど頑丈なんで」


「え…?」


「勇翔さんと一緒に自主練してるんです。力の抜き方も上手いし、体の使い方も俺とは全然違う。そう簡単に壊れる人じゃないっす」


和樹くん…。


和樹くんが勇翔と一緒に…?
< 318 / 434 >

この作品をシェア

pagetop