俺がお前を夢の舞台へ
だから絶対に大丈夫。


「…そっか。ならよかった」


蒼空はそう呟きながら、枕元の引き出しから1冊のノートを取り出した。


所々土に汚れているが、油性ペンで表紙に書かれた“打倒桜森”の文字はハッキリ見える。


「これ、勇翔に渡しといて。俺にはもう必要のないものだから」


「……うん」


“必要のないもの”


その言葉が胸を締め付ける。


蒼空が野球を辞めて3ヶ月が経った。


それでもまだ、野球ができない蒼空を受け入れがたくて、心のどこかで復帰できるんじゃないかと思っていた。


そんなことあるはずないのに。


「…俺は俺自身の手で夢を叶えたかった。でも、もう無理だからさ。そんなものでもいいから、アイツらと一緒に夢掴んだ気になりてーんだよ」
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