俺がお前を夢の舞台へ
学年全体から推されてるというより、学年全体から冷やかされてる感覚なんだけど…。


しかも、報告もしてないのに野球部員にも顧問にも知れ渡ってたし。


蒼空が嫌がってないから別にいいんだけど、ちょっと喋ってるだけでニヤニヤされるから困ったもんだ。


「別に何もー」


“何もしてないよ”と答えようとしたときだった。


「お前に何が分かんだよ!!」


廊下から蒼空の怒鳴り声が聞こえてきた。


普段怒らない蒼空の怒鳴り声に、教室が静まり返る。


「転校早々揉め事ってやばくない?」


「八神くんと仲悪すぎでしょ」


小声で囁き会う声が聞こえて、また胸が痛む。


勇翔が悪く言われるのは嫌だ。


「勇翔っ!蒼空っ!」


いてもたってもいられず廊下に飛び出す。


蒼空は勇翔を睨み付け、勇翔は冷たい視線を私に投げ掛けてきた。


「その目もやめろっつってんだよ。彩絢は何も悪くないだろ」


蒼空が私の前に立つ。


「……。“お前に何が分かんだよ”。それ、そっくりそのままお前に返してやるよ。お前は何も分かってない。俺のことも、彩絢のことも、お前自身のことも」
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