俺がお前を夢の舞台へ
想い出話
✴✴
消毒の独特な匂いが鼻につく。
この匂いは何度嗅いでも苦手だ。
蒼空が倒れてから3日。
初戦まであと4日。
今日はあいにくの雨だ。
練習途中で土砂降りになり、練習は中止になった。
雨だと不安になる。
特にこの突発的なゲリラ豪雨だと。
「…ふぅ…」
病室のドアノブに手をかけ、深呼吸をする。
蒼空に会うのは倒れた日以来だ。
少し緊張する。
―ガラガラッ
「きゃあっ」
突然ドアがスライドし、前につんのめる。
どんっとぶつかった相手は勇翔だった。
「え…どうして勇翔が…」
「人の気配がすると思ったらお前か。そんなとこで何やってんの」
早く入れと私の手を引き、ドアを閉める。