俺がお前を夢の舞台へ

✴✴

「そろそろ帰るか」


「そうだね…。もうこんな時間かぁ」


時刻は夜の7時。


あっという間だったなぁ…。


「今日はわざわざありがとな。楽しかった」


「私も楽しかったよ。ありがとう」 


たくさん想い出話をした。


そして、蒼空からパワーを貰えた。


「俺らも頑張るから、お前も頑張れよ。負けんじゃねーぞ」


勇翔はそう言ってそそくさと部屋を出ていった。


相変わらず照れ屋さんだ。


「お前の方こそ負けたら承知しねーぞって伝えといて」


蒼空もなんだか嬉しそうだ。


そんな蒼空を見ると、私も嬉しくなる。


「伝えとくね。それじゃ、また」


「おう。またな」


幼稚園の頃から数え切れないくらい交わしてきた“またね”。


蒼空の病気を知ってから、その言葉をかけることができなかった。


でも、今日初めて言えた。


必ず“また”が来る。


そう、思うんだ。
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