俺がお前を夢の舞台へ
予選
「っしゃーーす!」
ジリジリと照りつける陽射しの中、甲子園へのたった1枚の切符をかけた戦いが幕を開けた。
エースであり打線の要でもあった蒼空の休部は地方新聞でも報じられ、橘がどうなるのかという好奇の目で見られている。
そんな世間の目を知ってか知らずか、集合場所に現れた部員たちは緊張している様子だった。
去年の夏は準決勝まで進んだ。
それは蒼空がいたからであって、蒼空がいない今年はどうなるか分からない。
一瞬足りとも気が抜けない戦いが始まる。
まず私たちは攻撃から。
1番打者は橘で1番足の速い中島京介(なかじまきょうすけ)3年生。
2番はなんでも器用にこなせる栗原晃斗(くりはらあきと)3年生。
3番勇翔、4番タロー、5番尚輝くんの3人で大量得点を狙う。
そして続く6番には2年生の和樹くんが抜擢された。
さらに、期待の1年生颯太くんも8番打者としてスタメンに名を連ねている。