俺がお前を夢の舞台へ
いい汗を流している勇翔、京介くんをハイタッチで迎え、二塁にいるタローへ拍手を送る。


続く尚輝くんもタイムリーを放ち、あっという間に3-0。


すごく気持ちのいい点の取り方だった。


後続は倒れてしまったけど、相手の隙につけ込んだ攻撃で、流れを引き寄せるには十分だ。


幸先のいい滑り出しに思わず頬が緩む。


「まだ1回の表が終わっただけだ。気持ち緩めんな」


キャップをかぶり直した勇翔が私の肩をつつく。


「頑張ってね、勇翔」


「おう。任せろ」


橘ナインが散っていく。


1番高いところ、マウンドには勇翔が立っている。


野球をしている勇翔が見たかった。


ずっとこの日を待っていた。


帰ってきた勇翔は、一回りも二回りも大きくなっていた。


蒼空の夢を背負って―。
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