俺がお前を夢の舞台へ
勇翔の投球は完璧だった。
打たせて捕るスタイルで球数を要すことなく簡単にアウトを積み重ねていく。
後ろを守る野手への信頼。
それがあるからできることだ。
「すげーな…勇翔さん。ブランクあったのにあのピッチングって」
「とんでもない天才なんだろうな」
後輩たちがマウンドの勇翔に釘付けになっている。
そんな勇翔は5回を無失点で抑え、それに応えるように打線も好調を極め、5回コールドゲームとなった。
圧巻のピッチング、繋がった打線、全員の甲子園への意識。
すべてが絡み合い、この結果を生んだ。
「初戦は勝って当然。優勝するまで気を抜かずに気合い入れていけよ」
大柳先生がそう簡単に部員を褒めないこともモチベーション維持にいい影響を与えているんだと思う。