俺がお前を夢の舞台へ
「皆頑張れ…」


今日勝って決勝に進み、そして優勝するんだ。


蒼空の夢のために。




しかし。


現実はそう簡単じゃない。


スコアブックに、三振を意味するKが3つ並ぶ。


3人とも手も足も出ないピッチングだった。


「向こうが3者連続奪三振ならこっちだってやってやるよ」


見逃し三振に終わった勇翔が闘志を丸出しに手袋を外す。


こういう時の勇翔は強い。


言葉通りの3者連続三振に相手を切る。


だけど、攻撃の方はうまくはいかない。


結局誰も出塁できないまま、あっという間に時間が過ぎていく。


それに比例するように不安が増していき、勇翔をマウンドに送り出すのが怖くなる。


うちと違って相手はファールで粘れる。


その分、勇翔の体力は削られていく。
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