俺がお前を夢の舞台へ
0-0のまま迎えた8回の裏。


この回はなんとしてでも抑えなければならない。


もし得点を許してしまったら後がなくなる。


勇翔もそれは分かっているからこそ、表情が少しだけ固い気がした。


緊張すると帽子に触れる癖がある蒼空のように、勇翔はロジンに触れる回数が増える癖がある。


「落ち着け勇翔ーーー!!!」

「お前なら絶対大丈夫だーーー!!」


歓声に紛れて橘ナインの声が聞こえる。


今まで蒼空の背中を押してきたナインの声が、今度は勇翔を勇気づけている。


「頼むぞ勇翔…」


大柳先生の声が漏れ聞こえた。


打席に立つのは毎試合一本以上のペースでホームランを打っている4番。


ここ一番の大勝負だ…。


勇翔が尚輝くんのサインに頷いた。
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