俺がお前を夢の舞台へ
寸分の狂いもない完璧な一球にまた会場がどよめく。


立ち直った勇翔は強かった。


体力もなくなってきている8回に3者連続三振。


「アイツの肩とメンタルはどうなってんだ」


大柳先生もドン引きだ。


私も久しぶりにKと書き込めて、思わず頬が緩む。


「9回で決着つけろよお前ら。いいな」


「「はいっ!!」」


延長線に突入すれば、決勝を見据えて勇翔を代えざるを得ない。


そうなれば一気に漬け込まれる恐れがある。


だからこそ、勇翔がギリギリ投げられる今のうちに点を獲って、このまま勇翔で逃げ切りたい。


「勇翔」


大柳先生が勇翔を呼ぶ。


汗ダクの顔をタオルで拭きながら勇翔が大柳先生の隣りに座った。


顧問に呼ばれて、当然のようにイスに座る勇翔。


昔から変わらない大物っぷりを発揮している。
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