俺がお前を夢の舞台へ
「9回もお前に投げさせるつもりだけど、どうだ。まだいけるか?」


「うぃっす」


気の抜けた返事に思わず笑ってしまう。


この神経の図太さがある限り、勇翔は大丈夫だろう。


「肩壊すなよ。自分の身体とちゃんと相談してんのか?」


「はい。全然余裕っす」


「…あぁそう」


勇翔のバケモノっぷりに大柳先生がお手上げ状態だ。


こういうところが勇翔の良いところなんだと思う。


いい意味で緊張感のない性格が大一番での勝負でいい結果を出させている。


「颯太!気負わずいけよー!」


前のバッターがピッチャーゴロに終わり、颯太くんが打席に向かう。


その背中に数々の激励の言葉が飛ばされる。


「頑張れ颯太くん…」


相手バッテリーからすれば、1番打者には回さず9番で切りたいはずだから、本気で封じ込めに来る。

とにかく塁に出てくれさえすれば…。
< 372 / 434 >

この作品をシェア

pagetop