俺がお前を夢の舞台へ
「お前がくれた1点、死ぬ気で守り抜く。ありがとな」


「勇翔さん…」


中でも、勇翔からの一言は別格だったようで、目がウルウルし始めてしまった。


「泣くなら勝ってから泣けよな」


勇翔が颯太くんの顔面にタオルを押し当てる。


その顔は凛々しくて何よりも頼もしいエースの顔だった。




―そして迎えた9回の裏。


颯太くんのホームランのあと、後続はあっけなく凡退してしまい、僅か1点のリードで正念場を迎えることになった。


3つアウトをとれば決勝に進める。


しかし1点でも取られたら試合は振り出し。


2点以上取られたらその瞬間、夏は終わり夢は散る。


緊迫した試合展開に、スタンドからの応援が盛り上がりを増す。


両校の応援旗が大きく激しく揺れている。
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