俺がお前を夢の舞台へ

カキーンッッ　


うぉぉぉぉぉ！！


痛快な金属音が歓声に紛れる。


軽々飛んだ打球は右中間に落ち、フェンス際まで転がっていく。


その球を追いかける晃斗くんと京介くんの背中を見つめる勇翔は苦い表情を浮かべていた。


打者はあっという間に二塁に到達。


相手校側のスタンドから大きな歓声が湧く。


長打が出れば試合は振り出しに戻り、一発ホームランが出ればサヨナラ負け。


大会を通してずっと投げてきた勇翔の腕は悲鳴をあげていたって不思議ではない。


「お願い…耐えて…」


なんとか凌いで…。


尚輝くんがすかさずタイムを取りマウンドへ上がる。


ホームランを打ったあとの後続があっけなく凡退したことと、このツーベースで、流れは相手校へいっている気がする。


野球は流れが大切。