俺がお前を夢の舞台へ
「そんなこと言って気になってるくせにぃ」


勝手に再生された中継は、9回裏、ノーアウト走者二塁の場面だった。


右下に投手の球数が載ってある。


「球数130超えてんじゃん…」


一人でずっと投げてんだ。


ブランクがあったのに。


俺が大会通して投げ続けるのとは訳が違う。


このままじゃ怪我する。


数日後には決勝も控えてんのに…。


「蒼空のために皆頑張ってるんだね」


「……あぁ」


1-0の緊迫した場面で得点圏にランナーを背負いマウンドに立つ勇翔は今、どんなことを思っているんだろうか。


緊張してんのかな。


…アイツに限ってそれはないか。


どんな大勝負でも乗って勝つ。


アイツはそういうやつだと思ってる。


マウンドに上がった尚輝と言葉を交わした勇翔は、またロジンを手に取った。
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