俺がお前を夢の舞台へ
そして、軍配を上げたのは勇翔。


粘られた末に三振をとってみせた。


「すげーよな、勇翔って」


どれだけ大きなプレッシャーと戦ってるんだろう。


甲子園は勇翔の夢じゃない。


俺が勝手に押しつけた夢なのに。


「良くも悪くも自由奔放だった勇翔くんをここまで変えた蒼空もすごいわよ」


「…そうかな」


母さんと喋ってる間にバントを選択され、2アウト走者三塁に。


ここに来て、勇翔の表情が分かりやすく強張った。


ランナーが二塁にいるときと三塁にいるときじゃプレッシャーが違う。


しかも、相手は1番打者。


何を投げてもダメなんじゃないか、ランナーを帰してしまうんじゃないか。


そんなふうに思ってしまうことも多々あった。


特に、9回裏のサヨナラがあり得る場面だと尚更。
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