俺がお前を夢の舞台へ
画面の中の勇翔が何かを呟いた。


“エースは俺だ。蒼空じゃない”


そう呟いた気がした。


そして、アイツは信じられない一球を放った。


詰まった打球はセカンドの和樹のグローブに吸い込まれていった。


「勝ったっ!!」


母さんが俺の腕を叩いて喜んでいるけど、それどころじゃなかった。


アイツが最後に投げたのはカーブ。


だけどアイツが使ってるのはストレートとスライダーだけ。


試合前に会ったときも、球種は2種類で勝負してくると言っていた。


自身持って投げれるのがその2種類だから、と。


その話をしたとき、カーブも練習してみたけど無理っぽいからやめると言っていた。


そんな球を実戦で、しかも一打サヨナラの場面で、投げやがった。
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