俺がお前を夢の舞台へ

決勝前日

準決勝が終わり、決勝に進むのは私たち橘と、桜森に決まった。


因縁の相手との対決に胸の鼓動がおさまらない。


怖くて震える。


桜森に勝ったことは一度もない。


桜森は甲子園常連校で、優勝も何度も経験してる。


名将と謳われた監督、元プロの臨時コーチを中心に、プロのような戦い方で勝ち上がってきた。


うちは勇翔以外の投手がいない勇翔に頼りっきりの投手運営。


だけど桜森は、きちんと先発ローテーションを組んで一人の投手が投げすぎないように管理されている。


万全の状態のエースが決勝戦で投げるんだ。


…うちとは違う。


勇翔は口では何も言わないけど、肩や肘、手のひらを痛めているのは明らかだ。


決勝戦を前にしてエースはすでにボロボロ。


準決勝で予想外に投げさせられたことが響いているんだと思う。
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