俺がお前を夢の舞台へ
蒼空は、穏やかだけど力強い口調で言い切った。


蒼空のその強さはいったいどこから来るんだろう。


私なら怖くてそんな手術は選べない。


でも蒼空は違う。


「…すごいね、蒼空は」


「そうか?ただ単に野球を続けたいだけだよ。あと、勇翔に負けたくないのとさ」


心配で心配でたまらないけど、蒼空の意思は固い。


それに、蒼空は手術が成功することを信じてる。


だったら私も信じなきゃいけないよね…。


また会えることを。


明日、優勝報告ができることを。


「そんな顔するな。絶対大丈夫だから」


むにっ。


優しくほっぺたを引っ張られて、強引に笑顔を作らされる。


「もぉ…」


「彩絢は誰よりも笑顔が似合う。俺は、そんな彩絢から笑顔を奪ったりしない」


トクン…トクン…


思わぬ言葉に胸がときめいてしまった。


鼓動が速くなって頬が熱くなる。
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