俺がお前を夢の舞台へ

✴✴

ベンチ。


ここに座るのが最後になるかもしれない。


このメンバーで戦うのが最後になるかもしれない。


誰もの胸に少しはそんな気持ちがあるかもしれない。


「彩絢、大丈夫か?」


背中をポンっと叩かれ、振り向くと勇翔が用具の手入れをしながら話しかけてくれていた。


昨日、嫌な感じで別れちゃったけど、勇翔は何てことなかったかのように接してくれてる。


「昨日はごめんね…」


「いいっていいって。そんなことより体調は?寝不足なんじゃねーの?」


勇翔は優しいな…。


1番に気にかけてくれて…。


「大丈夫だよ、ありがとう。今日、頑張ろうね!」


明るくいよう。


ベンチでは絶対に暗い表情は見せない。


チームの士気を下げるような態度はとっちゃいけない。
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