俺がお前を夢の舞台へ

✴✴

「勇翔ー!尚輝くーん!皆頑張れー!」 


私たち橘は後攻。


最初は守備からだ。


勇翔がマウンドに立ち、天を見上げる。 


連日の活躍で一躍有名になった勇翔と、プロからも期待されているエースピッチャーの投げ合いということもあり、経験したことのない大きさの歓声が響いている。


勇翔が初球を投げた。


「あっ…」


初球はボール。


そして、続けざまにボールとなり、たったの4球でフォアボールとなってしまった。


想像していたよりも数倍悪い立ち上がりに、ベンチがピリつく。


先頭打者を出すと十中八九ロクなことにならないのは、経験からわかってること。


落ち着いて投げなきゃいけない。
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