俺がお前を夢の舞台へ
これが桜森か、という投球だった。


勇翔の打席は勇翔の粘り勝ちだったけど、基本的に制球が良くて力強い。


攻略するのは難しそうだ。


「勇翔!こっから絶対抑えんぞ」


「おう。任せろ」


その言葉通り、勇翔は2回を完璧に抑えた。


だけど桜森のエース菅野くんの投球がすごすぎて、手も足も出ない。


勇翔や蒼空とはレベルが違う、正真正銘のエース。


プロが注目している高校生から打てるチャンスなんてそうそうない。


数少ない失投をミスせずに打てるかどうか。


そして、これ以上の失点は禁物。


最低でも3点取らなきゃ勝てない。


最低でも3人、出塁しなきゃいけないんだ。


だけど…。


勇翔は毎回ランナーを背負い球数もかさみ、一方で橘は三者凡退が続くという苦しい展開に。


初回から漂っている暗い空気が存在感を増す。
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