俺がお前を夢の舞台へ
スコアこそ、0-2のままだけれど、ピッチャーにかかっている負担は天と地の差がある。


菅野くんは効率よくポンポンアウトをとってるけど、勇翔は違う。


肩の痛みを堪えながら、菅野くんの倍以上の球を要しながら、戦っている。


援護もないまま、孤独に。


蒼空がこの試合を見ていたら何て言うかな…。


頑張れよって発破をかける?


それとも、味方を信じて黙って投げ続ける?


きっと蒼空は信じてる。


私たちの勝利を信じて手術を頑張ってる。


「彩絢さん、顔暗いっす」


和樹くんに指摘され、慌てて笑顔を作る。


「ごめんごめん、考え事してて」


私が暗い顔しちゃダメ。


選手は皆頑張ってるんだから。


「ったく。どうせ蒼空のことだろ」


タオルで汗を拭いながら勇翔に睨まれてしまった。
< 410 / 434 >

この作品をシェア

pagetop