俺がお前を夢の舞台へ
「試合に私情を持ち込むなよ」


「うん…」


その言葉の通り、勇翔は本当にいつも通り。


淡々としていて、決勝戦のプレッシャーも感じていないような振る舞い。


でも、その態度の裏にある努力や葛藤を私は知っている。


蒼空からも聞いている。


「っしゃ、京介いけー!」


8回裏。


巡りよく1番からの打順。


切り替えた勇翔が大きな声でバッターボックスの京介くんに声援を飛ばす。


「京介くーん!お願い…!」


打順的にもこの8回裏が最後のチャンスかもしれない。 


クリーンアップに回して、なんとか同点までは持ち込みたい。


勇翔の肩も心配だし、なるべく延長には突入してほしくないけど…。
< 411 / 434 >

この作品をシェア

pagetop