俺がお前を夢の舞台へ
尚輝くんも、タローも、誰も何も言わなかった。


鉛のように重たい空気。


これじゃダメだ。


こんな空気で試合をしていたら、蒼空に怒られる。


「勇翔、切り替えなよ?勇翔の空気って嫌でも皆に移るんだから」


蒼空ならきっとそう言う。


誰よりも雰囲気を良くしようと頑張ってた人だから。


「この回抑えて、サヨナラ勝ちしようよ。ね?」


そんな蒼空のために。


「ったく。サラっと言いやがって。投げるこっちの身にもなれってのっ」


ボフッとタオルを投げつけられ、勇翔のいい匂いが鼻孔に広がった。


「もおっ!」


怒る素振りは見せたけど、ホントはすごく嬉しかった。


私の話を素直に聞き入れてくれたことも、協調性を身に着けてくれてることも。
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