俺がお前を夢の舞台へ
ここにいる勇翔は、私が知ってる勇翔じゃない。


私が知ってるよりずっと大人で、協調性があって、仲間思いで、責任感があって…。


だけど私は気づかなかった。


勇翔の肩はもう限界で、悲鳴をあげていることに。


“投げるこっちの身にもなれ”


その冗談めいた言葉の裏に隠された本音を知ろうともしなかったんだ。


9回表、0-2。


その悲鳴に気づいたのは、2アウトをとってからのことだった。


立て続けにヒットを許し、簡単に満塁になってしまったんだ。


2アウトまでとっていただけに、この展開は予想外だった。


でもたった1つ、あとたった1つのアウトをとればいいんだ。


満塁だとアウトは取りやすい。
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