俺がお前を夢の舞台へ
「…私は…勇翔を引き入れたいって思ってるよ」


今しかない。


今話をしなければ、一生タイミングを逃してしまう。


「引っ越した先でどうしてたかは知らないけど、勇翔ならしばらく練習すればいいピッチャーになると思う」


いいピッチャーが育てば、チームのプラスになる。


それに、勇翔は打てるピッチャーだった。


「勇翔がチームに加われば橘は変わるよ」


蒼空は長い間沈黙を続けた。


無表情で何を考えているか分からない。


そして、ようやく沈黙を破った。


「まっ、んなことは俺も分かってんだ」


蒼空は一転し明るい表情を見せる。


「アイツの実力は本物だし、アイツは俺の最大のライバルだ」


蒼空…。


蒼空の横顔は綺麗だった。


「…アイツのことが気に入らないし、ムカつくし、腹も立つけど…。橘に必要な戦力なのに変わりはない」


そして、蒼空は笑った。


「うちにはアイツが…勇翔が必要だ」


と。
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