俺がお前を夢の舞台へ
颯太くんがバットを振り、途中で止めた。


だけど。


「あっ…」 


運悪く、止めたバットに当たった打球がピッチャー前に転がる。


2塁、1塁の順番にボールが渡り、ダブルプレー。


1塁を駆け抜けた先で呆然と立ち尽くす颯太くん。


これで一気に2アウトランナーなしになってしまった。


ここで終わってしまうのか。


「すみません…」


ベンチに帰ってきた颯太くんが、泣きそうな顔で頭を下げる。


そんな颯太くんの頭を撫でたのは勇翔だった。


「お前が謝る必要はねぇよ。もとはといえば俺が打たれなきゃよかったんだ。お前のせいじゃない」


「でも―」


「“でも”じゃねぇ。俺らを信じろ。お前のゲッツーなんて帳消しにしてやっから」


勇翔…。


勇翔は皆を信じてるんだ。 


必ず勝てるって。
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