俺がお前を夢の舞台へ
勇翔はしっかりボール球を見極める冷静さを持っている。


3ボール2ストライク。


緊張の糸が今にも切れそうなくらい張り詰める。


スタンドの応援は最高潮に達し、まるで球場が揺れているよう。


「お願い…」 


もう1つもアウトは許されない。


―カッキーーンッ!!!


ジャストミートしたとすぐに分かる完璧なアーチ。


「っっ!!!!」


うぉぉぉぉぉぉ!!!!

きゃぁぁぁぁぁ!!!


地鳴りのような歓声。


勇翔の打球は、美しいアーチを描いてスタンドへ飛び込んでいった。


「「っしゃぁぁぁぁ!!!!」」


ベンチから飛び出す皆。


拳を突き上げ、ダイヤモンドを一周する勇翔は泣けちゃうくらいカッコよかった。


ここにいる誰よりも輝いている。


文句なしのサヨナラ満塁ホームランを放った勇翔が、ホームベースで部員にもみくちゃにされる。


7-6。


土壇場での逆転勝ちで、私たち橘高校が甲子園への切符を掴んだんだ。


蒼空の夢を叶える切符を…。


蒼空…


夢が叶ったよ…


勇翔が…皆が叶えてくれたよ…


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