俺がお前を夢の舞台へ
「…お前はどれだけ泣けば気が済むんだ」


勇翔が冷ややかな目で私を見ながら隣に座った。


「だって…」


嬉しいんだもん…。


また蒼空と一緒に過ごせると思ったら嬉しいんだ。
 




「…決勝の結果、聞いていい?」


私の涙が止まるのを待ってくれてから、蒼空が口を開いた。


これはもちろん勇翔から報告すべきだ。


ドキドキしながら勇翔に視線を移す。


「あー、優勝した」


…そんなサラっと…。


「じゃあ、甲子園に行けるんだな」


「おう。優勝したかんな」


クールぶってるけど、本当は嬉しいはずだ。


少し頬が緩んでる。


蒼空は、弾けんばかりの笑顔を浮かべて勇翔の肩を叩いた。


「お前、正真正銘のバケモンだわ」


「あ?甲子園に連れて行ってやったんだからもっと感謝しろ」
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