俺がお前を夢の舞台へ
目が合った瞬間、ドクン…と心臓が脈打った。


あまりに綺麗な目をしていたから。


透き通っていて、どこか涼しげなクールな瞳。


昔のイタズラ坊主の瞳はない。


それでも、私の心を鷲掴みにするには十分だった。


「何?俺の顔に何かついてんの?」


「あっ、いや…別に……」


いつも“話しかけよう”と意気込んでいるのに、いざ勇翔から話しかけられると緊張して上手く喋れなくなる。


「……」


「……」


気まずい沈黙が流れる。


勇翔は、スラスラと問題を解いている。


私も解かなきゃいけないって分かってるけど、すぐ右に勇翔がいるせいで文章が頭に入ってこない。


「できた」


“ん”と解答を見せられ目を通すと、綺麗な文字で正解と思われる文章を書いている。
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