俺がお前を夢の舞台へ
“しょーがねーから約束してやる。俺ら二人で彩絢を甲子園に連れていく”


声変わり前の甲高い声で何度も再生されてきた“約束”。


勇翔は約束を守る人間だった。


ホームランを打つと言ったら打ち、三者凡退に抑えると言ったら本当に三者凡退に抑える。


絶対成功するから盗塁をやらせろと駄々をこね、実際に成功させたこともある。


逆に、守れない約束はしない人間でもあった。


だからこそ、私は勇翔を信じていた。


きっとどこかで元気に野球をやっている。


甲子園で再会できるんだ、と。


「蒼空が言ってたろ。状況はすぐに変わるんだって」


なにそれ…。


どうしてなの…?


「悪いけど、その約束はなかったことにしてくれ。蒼空の力があれば甲子園目指せるだろ」


淡々とした口調で吐き出される言葉。


そんなものに納得できるはずがなかった。


「納得いかないよ…っ!」
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