俺がお前を夢の舞台へ

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「はぁぁ……」


これからどうしよう。


無理に誘うのはよくないよね…。


でも…うちには勇翔が必要だ。


もう負けたくない。


蒼空の悔しがる顔を見たくない。


いつもあと一歩のところで負けるんだ。


あと一人ヒットが打てれば、あと一人守備が上手い人がいれば。


いつも誰よりも悔しい思いをするのは、自分だけの力じゃどうにもならないことを知っている蒼空だった。


笑っている蒼空が好きだから。


だから最後の最後は笑って終わりたい。


甲子園に行きたい。


「どうかした?元気ないじゃん」


ドリンクを取りに来た尚輝くんが声をかけてくれた。


「なんでもないよ、大丈夫。尚輝くんこそ調子どう?」 


「バッチリ。やっぱ蒼空と組むのが1番やりやすい。アイツ以外と組むのは考えらんないくらい」


尚輝くんはそう言って爽やかな笑顔を浮かべた。


……そうだよね。


正捕手は尚輝くん。


勇翔が入部したら、その球を受けるのは尚輝くんだ。


別に1年生と組んでもいいけど、尚輝くんは貴重な打てる捕手。


尚輝くんは不動のキャッチャーだ。
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