俺がお前を夢の舞台へ
**
「はぁぁ……」
これからどうしよう。
無理に誘うのはよくないよね…。
でも…うちには勇翔が必要だ。
もう負けたくない。
蒼空の悔しがる顔を見たくない。
いつもあと一歩のところで負けるんだ。
あと一人ヒットが打てれば、あと一人守備が上手い人がいれば。
いつも誰よりも悔しい思いをするのは、自分だけの力じゃどうにもならないことを知っている蒼空だった。
笑っている蒼空が好きだから。
だから最後の最後は笑って終わりたい。
甲子園に行きたい。
「どうかした?元気ないじゃん」
ドリンクを取りに来た尚輝くんが声をかけてくれた。
「なんでもないよ、大丈夫。尚輝くんこそ調子どう?」
「バッチリ。やっぱ蒼空と組むのが1番やりやすい。アイツ以外と組むのは考えらんないくらい」
尚輝くんはそう言って爽やかな笑顔を浮かべた。
……そうだよね。
正捕手は尚輝くん。
勇翔が入部したら、その球を受けるのは尚輝くんだ。
別に1年生と組んでもいいけど、尚輝くんは貴重な打てる捕手。
尚輝くんは不動のキャッチャーだ。