俺がお前を夢の舞台へ
「教えてよ蒼空…。勇翔を勧誘したいんでしょ?だったらマネの私に教えなさいよ…っ」


「職権乱用。それに勧誘の件、別にどーでもいいよ。彩絢がやりたいようにすればいい」


なにそれ…っ。


秘密を作って、肝心なことは人任せ?


「なんなの…っ。勧誘のことで私は悩んでるのに、なんで投げやりになって押しつけるの…?蒼空も協力してよ…っ」


勇翔の力が必要だって言ったくせに、直接行動しない。


何もしないし何も言わない。


なんなら勇翔と目を合わせてるところすら見ていない。


「…俺が誘うより彩絢が誘う方がいいかなと思って」


「そうやって勇翔を避けるから溝が深まるんじゃん」


「別にいいよ。溝があっても。俺には関係ない」


「よくないよ!どうしてそんなに冷たいことばかり言うの?チームメートになってほしいんでしょ?だったら─」


「誤解すんな。俺はアイツの戦力がほしいだけで、アイツ自身を認めたんじゃない。それに、俺とアイツはもう無理だ。反りが合わない」


……っ!!


「なんで…?だったら最初から勇翔が必要だなんて言わないで!意味わかんないよ!」


「……俺だって困ってんだよ。俺がいなくなったとき、橘は機能しない。そう考えたらアイツは必要だ。でも、アイツとチームメートにはなりたくない。毎日毎日迷ってんだよ、俺だって」


明らかにトゲがある言い回しに、ピキッと心にヒビが入る。
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