俺がお前を夢の舞台へ
後を追いたいけど今は授業中。


どうすることもできなくて、最悪な空気のまま授業が進んでいく。


蒼空はずっとイライラしてるし、茉優も困惑してるし、勇翔の席は空席だし。


これほど授業時間を長いと思ったことはない。


「……彩絢」


「な、なに……?」


急に名前を呼ばれてビックリする。


相変わらず不機嫌だけど、ちゃんと私の目を見てくれている。


「…いろいろごめんな」


「……うん」


なんだかんだで謝ってくれるのは蒼空の良いところ。


昔から変わってない。


「私の方こそごめんね」


昔から、私と蒼空の喧嘩が長引くことはなかった。


でも、蒼空と勇翔の喧嘩はかなり長引く。


変わってほしいところは昔から変わらない。


蒼空と勇翔の“隠し事”…か。


のけ者にされている悲しさを感じつつもどうすることもできず、ただ授業が終わるのを待つしかなかった。
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