俺がお前を夢の舞台へ
──
─
「…や!…あや!」
誰かに背中を揺すられている。
このままじゃ勇翔が─…
「彩絢!」
勇翔…が…?
「っ!!」
─ガタン!!
「うわっ!?何だよビックリしたぁ」
夢…?
私ったら、なんて夢を…。
「部活、遅れるぞ」
勢いよく立ち上がったせいで後ろに倒れた椅子を元に戻しながら、蒼空が言った。
蒼空の顔を直視できない。
なんて酷い夢を見てしまったんだろう。
勇翔に告白してフられる夢だった。
昨日、勇翔のデート現場を目撃したせいだ…。
夢の内容が蒼空にバレるんじゃないかという不安。
そして、彼氏を持ちながら浮気じみた夢を見てしまった罪悪感が襲ってくる。
「6限からずっと寝てたぞ。後で小泉先生に怒られるだろうな~」
ニヤニヤしながらからかってくる蒼空に、愛想笑いを返すのが精一杯だった。