俺がお前を夢の舞台へ
蒼空も慎重になっているのか、尚輝くんとのやり取りが長い。


と、そこで尚輝くんが立ち上がりマウンドに駆け寄る。


尚輝くんが蒼空の顔を覗き込み、腰をポンポンっと叩いた。


「どうしたんだろ?ピンチでもないのに」


蒼空はいつも通りの爽やかな笑顔を保っている。


「サインが上手く通じなかったんじゃないですか?蒼空さん、見えづらそうにしてましたから」


「なるほど…」


菜々子ちゃんはよく見てるなぁ。


私なんて勇翔に気をとられているのに。


先輩の私がしっかりしなきゃだよね。


尚輝くんが定位置に戻り、蒼空もいつも通りの構えをみせる。


蒼空が放った球は、寸分の狂いもなくミットに収まった。
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