俺がお前を夢の舞台へ
距離があっても見間違えるわけがない。


「勇翔…」


あれは勇翔だ。


勇翔が野球部の練習中に現れるなんて…。


いつからいたんだろう。


試合中はいなかったはずだ。


「やっぱりあれが結城さん…」


菜々子ちゃんが近づこうと一歩踏み出すと同時に、二人はグラウンドから出ていってしまった。


仲が悪いくせに、いつも二人で話し込んでいる。


あの二人はいったい何を隠しているんだろう。


出ていく時の二人の顔は険しかった。


どちらかというと蒼空のほうが怒っている様子だった。


勇翔は…何をしに来たんだろう。


試合は見ていたんだろうか。


わからない。


私にはなんにも分からないんだ。
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