俺がお前を夢の舞台へ
こんなときに限って誰も通りかからない。


お願い、誰か気づいて。


このままじゃホテルに連れていかれそう…。


嫌だよ…蒼空…。


「お願いだから離して…っ」


腕を振り回しても振りほどけない。


反対に、どんどん強く掴まれる。


「やだ…っ」


蒼空…助けて…。


蒼空…っ。



「てめぇ、何やってんだよ」



頭上から降ってきた声。


聞こえるはずのない意外な声に、思わず見上げると、やっぱり間違いなかった。


「はや─」


「勇翔さん…」


え…?知り合い…?


状況がわからない。


そもそもなんで……。


なんで勇翔がコンビニ店員の制服を着てるんだろう。


何がどうなってるの…?


ついさっきまで感じていた恐怖や嫌悪感は消え去り、疑問だけが沸き出てくる。
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