鵠ノ夜[中]



どうやら雪深が復活したらしい。

かと思うといきなり飛んでくる暴言の数々。最後の言葉を聞いて菓ちゃんの耳を両手で塞いだ胡粋は、雪深に向かって意味ありげな視線を投げる。



「まあ雪深には脱がす勇気なんてないだろうけど?

というかはとりが乱入してこなかったら、みんなもうちょっと堪能できたのに」



「確かにそれもある……

はとりなんであの場面で乱入したの?」



「お前は本当に下心しかないんだな。

言っとくけど好きな女がほかの男に脱がされんの見てるより、自分が脱がせた方がいいに決まってんだろ」



「あ、やっぱりそうだよねえ?

よし、決めた。早々に胡粋を抹消しよう」



「ねえあなた達、さりげなく最低な会話してるって知ってる?」



さすが思春期。さすが男子。

この一件で胡粋がなかなかに最低だってことはわかったけれど、まさかはとりまでこの話題に混ざるとは思わなかった。




「あきらかにはりーちゃんの発言からは、

脱がし慣れてますって感じがするもんねー……」



「芙夏まで混ざろうとしないで」



「あと、こういう話題を目の前でされても平然としてるレイちゃんは脱がし慣れてるというより……

脱がされ慣れてる?よね?」



可愛らしく首をかしげてる芙夏。

けれどその口から出た発言で5人の男の視線を一気に浴びたわたしの頬は、不意打ちのそれにじわりと熱を持った。



「っ、そんなこと、」



「皆様……大きな声で一体何を話されてるんですか」



ないから!と。否定しようとした矢先。

部屋に顔を覗かせたのは黒のスキニーに白いシャツとラフな格好の小豆。いつものスーツではなく、完全な休日スタイルだ。



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