隣の不器用王子のご飯係はじめました
だ、だいせいかーい。
レナさん、勘が鋭いです……。
私は自分で表情筋が引きつるのを感じながらどうにか首を振る。
レナさんはニヤニヤと笑みを浮かべながら、使い込まれたノートを取り出した。
「ありりん。詳しいお話聞きましょうか」
「いや、だから本当に、レナさんにお話しするようなことは何も……!」
「姉さん」
遠坂くんが厳しい声でレナさんを止めた。
「他人の話を漫画のネタにしようとするのはやめなよ」
「ひろ、そんな怖い顔しないでよ~。ネタのストックはできるだけ欲しいんだもん!それにひろも聞きたくない?ありりんの恋バナ」
「……いや、別に聞きたくない」
あはは……
そりゃあ遠坂くんが私の恋バナに興味あるわけないよね。
まあそもそも本人の目の前で話せるわけないけど!
そんなことを思って苦笑いしていると、スマホがポケットの中で震えた。
通知を確認すると、由梨からメッセージが届いていた。
『明日、放課後、屋上!逃げるの禁止!』