隣の不器用王子のご飯係はじめました





私が由梨と仲良くなったのは、一年生の春にクラスの女子全員に手作りクッキーを配ったのがきっかけだった。

皆普通に喜んでくれていたけど、その中でも由梨は反応の良さが別格だった。



『ちょっと小野山さん!このクッキー本当に手作り⁉有り得ないぐらい美味しいんだけど!!』



由梨はその綺麗な容姿から、入学初日から人目を惹いていた。

そんな由梨にクッキーを渡すのはかなり緊張したということと、次の休み時間に彼女がわざわざ感想を言いに来た時の驚きはよく覚えている。



『小野山さんお菓子作り得意なのね。また作ってきてよ!あ、わたしは藤田由梨。由梨って呼んで!わたしも小野山さんのこと在花って呼んでもいい?』



そこから仲良くなるのは早かった。

ズバズバと物を言う由梨に苦手意識を持つクラスメイトも多かったけど、私にはむしろ好感が持てた。

一人暮らしをしている部屋に最初に招待したのも由梨だし、休みの日によく遊ぶのも由梨だ。


学年が変わってまた同じクラスになれたとき、抱きしめ合って喜んだっけ。


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